トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

第180話

  ヤングマガジン:2009年22・23合併号:2009.04.27.月.発売
 
依頼人の家の前で,君尋は楽しそうに話を続けている。
「そうだ 今度は一緒におむすび作って食べましょう みんな,また来てもらって」「侑子さんはひょっとしたらまた居ないかもしれないけど‥‥」
「侑子さんって‥‥?」
依頼人が,きょとんとした顔をした。
店主であり,自分はバイトだと話す君尋。
「髪が長くて真っ黒で」「お茶,一緒に飲んだひとですよ」
しかし,とまどっているような彼女の口からは,
「あのお店でお会いしたのは貴方だけなんですけど」
君尋はこおりついた。
 
静と歩いていても,依頼人のことばが頭の中でぐるぐる回っている。
「対応して下さったのは貴方でしたし」
「本当です 私があの店で会ったのは貴方だけでした」
 
「そんな馬鹿な」
口に出たところへ,前方から声がかかった。
「あら 四月一日君」
「百目鬼君も」
何ごとにも消極的だった姉のほうが自信を持てるよう助けてあげた,双子の姉妹だった。
「久しぶりね」と姉。
「お茶でも,どう?」と妹。
侑子さんの店に戻るからと言う君尋だったが,
「侑子さん?」「それ,だあれ?」
異口同音の問いに,立ちつくす。
 
一瞬ののち,彼は走りだした。静の呼び止める声も耳にはいらない。
 
「侑子さんを知らないなんて!」「なんで,そんな事‥!」
「きっと勘違いか何かだ‥‥!」
 
君尋は,店の門の前に来ていた。
「ほら」「ちゃんと店だってあるし!」
急いで門のなかへと足をふみいれる。
 
「え‥‥‥?」
そこは,真っ暗な闇の中だった。