トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

第178話

  ヤングマガジン:2009年20号:2009.04.13.月.発売
 
「侑子さん!」
戸を次つぎあけ放ちながら,君尋は店の中を走った。
「聞いて欲しい事があるんです!」
 
走るのをやめたのは,侑子の居室,ソファーの前だった。彼の見つめる先に侑子のキセルがあった。
 
その時,何かを感じて思わず振り向く。と……,まわりの壁が,廊下が,所どころ消えている。
建物や家具があちこち透けるように消えていき,雑草だらけの空地の風景が,その向こうに見えてくるのだ。ぼうぜんとする君尋。
それでも,そんな中で魔力を感じ,思わず叫んだ。
「マル!? モロ!?」
まもなく,見慣れた店のながめが戻ってきた。
 
キセルを手に取りながらつぶやく君尋。
「モコナ‥‥」
「‥‥侑子さん‥‥」
「出来る事頑張ったら」「みんな‥‥」
静は,離れた障子のかげで手を組んで立っていた。
 
“ピンポーン”
きょうも例の家の前に来ている2人。
「呆れられちゃったかな」
つぶやく君尋,後ろで無言の静。
そのとき,玄関のとびらが開き,依頼人が門のところまでやって来た。
おこったような表情を見た君尋は,急いで頭を下げ,毎日押しかけていることをわびた。すると……。
「食べました」
「え?」
顔を上げた君尋に,依頼人が,表情は変えずに続けた。
「貴方の作ったおむすび」「食べました」