トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

第177話

  ヤングマガジン:2009年18号:2009.03.30.月.発売
 
店の縁側に腰かけていた静は,タマゴを月にかざした。
「‥‥これからは何も産まれない か」「だったら何の為に‥‥」
 
足音に気づき,たもとにしまったところへ,風呂あがりの君尋がやって来た。
脇に置いた酒を見て,
「おまえにしちゃペース遅すぎ‥‥」
「いつもなら一升瓶あいてるだろ」「いや,侑子さんとモコナが一緒なら樽酒くらい楽勝で‥‥」
君尋は,そこでことばに詰まり,つまみと酒を取ってくるととりつくろって,台所へ向かった……。
 
“ガシャン”
その音に右を向く君尋。
そこには小狼とサクラが向かい合っていた。ただ,傷つき疲れきった小狼と立ったまま眠っているサクラ,それぞれの後ろに,おだやかな顔のもうひとりの小狼とサクラがいた。
「なんで‥‥」「小狼君と」「さくらちゃんが 2人‥‥」
「ちが‥う‥‥」「あの人達‥‥は」
君尋を見返すもうひとりの小狼とサクラ,そのサクラが君尋にほほえんだ。
{絶対だいじょうぶ‥よ}
「待っ‥‥‥!」
かけ寄ろうとした君尋だったが……。
 
「どこ見てんだ 阿呆」静が,のめりかけた君尋の腕をつかんでいた。
その君尋はうわごとのようにしゃべりつづける。
「‥あのひと‥達‥知ってる‥‥」「誰かわかんねぇけど知ってるって‥ 手が‥身体が‥‥勝手に‥‥ どうして‥‥なんで‥‥」
静の声にも気づかない。
「なんで‥‥ こんなに‥‥」「痛いんだ」
次の瞬間,彼はいきなりかけだした。
「侑子さん!」
店の中,とびらを次つぎとあけはなって叫ぶ。
「侑子さん!!」