トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

第169話

  ヤングマガジン:2008年49号:2008.11.01.土.発売
 
「だか ら 消え る な」
静の家,縁側にいた君尋は,風の音の中に小狼の声を聞いたように感じた。そのようすを静がいぶかると,目の前に落ちてきた枯れ葉を手に取り,口を開いた。
「‥‥自分が出来る事をやるよ」「此処にいたいから」
 
料理教室の日,君尋は「料理の前に」と依頼人に声をかけた。
食卓をはさんで立つ2人。
「この前,仰っしゃっていましたよね」「気持ち悪いから自分の作ったものは食べないって」
「ええ」
笑顔で答える依頼人に理由を尋ねる。
「知ってますから 自分がどれだけ気持ち悪いか」
何をさわったか,着たか,見たか,感じたか,覚えているけれど気持ちの悪いものばかりで,その中で暮らしている自分はもっと気持ち悪いから,せめて食べたくない,と言う。それはほかの人も同じではと君尋が言いかけると,他人のことは知らないし知ったらもっと気持ち悪くなるから知りたいとも思わないのだ,と答える。結婚相手のことも,会ったのはお見合いとその後で3回だけ,よく知らないからいいのだということだった。
「知らなければ気持ち悪くならないし」「知らない事はなかった事と同じですから」
 
君尋は同意しかねた。
「それ ‥‥違うと思います」
「知らないからってなかった事にはならない」「心で知らなくても身体が知ってる事はあります」
笑顔のまま聞いている依頼人に対し,たたみかける。
「現に,貴方の身体は知っています」「貴方が本当はどうしたいのか」