「君尋くんと静くんはどうしてなかよくなったの?」と、小羽は問う。
百目鬼は二人の馴れ初めを話し始めた。
初対面で四月一日は蹴りを食らわし、そのまま仲が悪いままだったという。百目鬼の家で百物語をすることになるまでは。
でもどんなに四月一日から嫌われていようと嫌になれなかったのは、ある雨の日、四月一日が死んだ犬を抱いて「俺もこんな風にひとりで死ぬのか」と言っていたからだという。
「君尋くんと私、初めて会ったときから心が近いって思ってたけど、ひとつだけ違うことがあった。私はひとりだけど、君尋くんはひとりじゃない。」
そういう小羽に百目鬼は優しく頭に手を載せる。
君尋をよろしくね、と小羽は言った。そして持ってるでしょ、と言った。
百目鬼は、かつて侑子が自分に卵を渡したことを思い出す。
「この卵を使うとき迷わないように・・・」
百目鬼は決心したように小羽の手をぎゅっと握った。