「ごちゃごちゃうるせぇんだよ」
小狼・ファイ・黒鋼の3人と、次元の裂け目から顔を出す飛王・リードとの、避けられぬ邂逅。その口火を開いたのは、黒鋼の剣だった。
「能書きはいいから、出てこい」
「無理だよ」
黒鋼の挑発に言葉をかぶせるファイ。
「オレとの時もそうやって、裂け目の中からだけだった」
「なるほど、臆病者って事か」
なおも『口撃』を続ける二人。それに対して飛王は、自らの姿を現す代わりに刺客を放つ。かつて玖楼国の遺跡で、さくらの兄であり国王である桃矢を襲った手の者だ。黒鋼は剣技、ファイは鈎爪を使った体術で、これに応える。次々と敵を斃す二人だが、やがて一つの「違和感」に気づく。無尽蔵とも思えるほど現れる敵だが、斬れば血が流れる。その「リアル」に対して、飛王は嘲るように言い放つ。
「集めた魂で作った、只の出来損ないだ。好きなだけ遊べ」
その一言が、二人の心をさらに逆撫でする。
一方、小狼は二人の計らいで、もう一つの戦いに臨もうとしていた。
「前に、もうひとりの小狼君を通じて言ったこと、覚えてるかな。」
ファイは「大きな選択」を前にした小狼に、語りかけた。
「『そこにあった未来を変える事が許されるのか。』
結果がどうなるか、今はわからない。
だったら、今は考えないで君が出来る事、やりたい事を考えればいい。
それは『逃げる』事とは違うから…。」
不本意な結末を恐れて動かないよりは、自らの信念、決断、行動の積み重ねによって導かれる未来を掴む。あらゆる『歪み』を起こしてまで願った『願い』に向き合う機会を与えた、ファイ。
「おまえは自分と、けりをつけろ。」
『願い』を『行動』へ結びつける機会を与えた、黒鋼。
そして…、
「…今後こそ、終わらせる。」
小狼は今、己自身の影とも言える『写身』と、最後の一戦を迎えようとしていた…。