トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.199−生き抜く力

 飛王の、願い。それは、大切な者を失えば誰もが願う、叶わぬ願い。
 不可能を実現するために、彼はほかの誰かの大事な人を、奪う。
 …小狼は戦っていた。恐れる未来を、実現しないために。
 
 小狼の回想は、それから数年の時を超える。
 彼は、さくらにかけられた呪いを解くために、玖楼国を拠点としてあちこちの国を旅して回っていた。残された、わずかな手がかりを頼りに…。
 自宅へと戻った小狼。彼は玖楼国へ戻った二年後に、一人暮しを始めていた。その帰宅を、高いアンテナを張り上げて待っていたさくら。早速彼の家へとやってきて、暖かな笑顔で彼の帰宅を労う。
 そんなさくらを、淹れたてのお茶と茶菓子でもてなす小狼。その茶菓子は、出かけた先の国で保存食として彼が作ったもので、人から教わりつつも彼女に感嘆の声をあげさせる出来映えだった。
 …思い返せば。
 父は幼いころの彼にあらゆることを叩き込んでいた。術の使い方や身の回りの事、そして料理に至るまで。それはまるで、年幼くして二度と会えなくなる日が来る事を、予見していたかのように…。
 ベッドに腰掛け、話に花が咲く二人。ふと、さくらが小狼に向きかえる。
 「もうちょっとでわたしと小狼と、会う前より会ってからの方が長くなるの。
  その間に色々勉強して、いろんな夢を視られるようになって…
  あの、あのね、わたし…」
そこに、不意に訪れる夕刻の鐘の音。「なんだかお城の鐘で兄様に邪魔された気がする…」というさくらは、「もうちょっとでわたしの誕生日が来るから、さっき言いかけた事、そのとき言うから」と言い残し、城への帰途へつく。途中、振り返って手を振るさくら。嬉しそうな笑顔。しかし、死の刻印は着実に彼女を蝕んでいた。
 己の無力さを呪う小狼。やがて訪れる彼女の14歳の誕生日、それはもう一つの運命を決める日となる。