トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.183−砂の世界

 日本国、願いを叶えるミセ。侑子は、ラーグに発動させた巨大な魔方陣の中心に立つ。そして、かつて飛王がヒトの魂を集めるために放った「蟲(こ)」を利用して、異世界への道筋を創る。だが、それに気づいた飛王は、痛烈な一撃を放つ。それはまっすぐに道筋を辿り、侑子の身にダメージを与える。それでも、彼女は機を逃さなかった。
「今よ」
 それは、異世界で時が満ちるのを待っていた『小狼』たち3人にとって、「まさにその時が来た」ことの合図だった。彼女の声に呼応して、旅をナビゲートするソエルの頭上に、先の魔方陣が現れる。そして、巨大な翼に抱かれるまま、3人は異世界へと旅だった。
 侑子は…、3人の行方を見守るや、傍の桜に寄り掛かる。左手からは、血が滴り落ちる。心配な顔をして跳んでくるラーグに、彼女は蒼白な顔でつぶやいた。
「ここから先、あたしが出来ることは何もない…。
 後は、あの子達が…選ぶ」
 
 異世界への移動を終え、目を開ける3人。そこに、宙から落ちてくるソエルの姿があった。慌てて抱き留める『小狼』。この移動で、ソエルもまた限界まで魔力を使っていた。
 持てるものを失いながら、絶対的な不利を覚悟しつつ。3人はついにやってきた。切り取られた時間の中の、はじまりの世界・玖楼国へ…。
*ソエル=白モコナ、ラーグ=黒モコナ。