さくらに向けて振るった剣。だが、それは頭上すんでの所で抑止される。今度は首に向けて振るうも、またも体がそれを拒む。「カラダの記憶」。二人を結んできた絆が、その一方である小狼が心を失ってもなお、相手の命を奪うことを拒んでいた。
それに気づいた飛王は、次は『小狼』に狙いを定めることを指示する。呪文を詠唱する小狼。さくらは声を上げた。
「だめ!『小狼』君…いえ、小狼を殺したら全部終わってしまう!」
なおも魔法を発動する小狼。さくらは叫ぶ。
「だめ!!」
その声に呼応するように、夢の国と日本国を繋げる神木に走る亀裂はより進行していく。そして、小狼が意識のない『小狼』の懐に手を伸ばし、羽根を手にしたとき…、夢の世界は破綻し、神木の亀裂から黒い濁流として押し流していく。
それでも、戦いは終わらない。小狼から羽根を奪い返さんと、『小狼』は掴みかかった。