トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.155−禍々しき双子

 「オマエガコロシタ」。
 アシュラ王の傍に添う影。それはファイが記憶の奥底に封印していた少年の姿だった。
 
 在りし日のヴァレリア国。兄弟の王が統治するその国に生まれた、双子の皇子。しかし、その国においては双子は凶兆。その後相次いだ凶作や異変。父である弟王の突然の逝去、そしてその妃である母が自刃。それでいて、幼くして既に強大な魔力を持つ二人。そこで兄王はついに二人を咎人の谷へ幽閉することを決める。双子に不幸を着せ、その反動で国が栄えるという「呪い」をかぶせ…。
 
 その谷は、罪を犯した者が辿る最果てであった。魔力が効かず、時の流れすら異なる空間。円形に、垂直に掘られた深遠なる坑の中央には、天まで届かんとする塔がそびえ立つ。二人は、その塔の上と谷の下に幽閉された。
 谷の下にいるユゥイは、知恵を絞って谷からの脱出を試みる。ユゥイの望みは、二人揃ってこの国から脱出すること。しかし、塔の上に幽閉されたファイは早くも失望の念を表情に浮かべる。
 ある時、咎人の谷に大量の人間が墜とされる。一度にこれほど多くの人が処刑されることはなかったはずなのに…。ユゥイは、ヴァレリア国の異状を察する。