小狼との対戦相手。それは対・多人数戦向けの機械人形だった。俊敏な動き、的確な攻め、一瞬の隙も見逃さない判断力。小狼の蹴りがその躯に極まるも、その脚を奪い、フィールド外へ追いやる力。それは、まさに「機械」だからこそできる技であった。
苦戦する小狼を見据えるさくら。彼女は、自ら困難な道に足を踏み入れようとしていた。さくらは予知した未来を変えるため、単身破滅へ進もうとする世界に挑む。世界を渡るための条件、一つは、チェスに挑み優勝すること。もう一つは、唯一彼女の身を守り、『武器』とも言える強運を差し出すこと。「神の愛娘」と呼ばれた引きの強さと引き替えに、1/2の確率で彼女が願う世界へたどり着けるのだという。
全てを失う覚悟のさくら。だが、彼女の瞳に宿るのは、悲壮感ではなくむしろ力強い決意の灯火であった…。