魔物を倒すために、家宝・銀竜を手に出かけた父。領主である夫の無事と、結界を守る祈りを捧げるために祷場に入った母。しかし、母は次元を切り裂いて現れた刃によって胸を刺し貫かれ、事切れる。その死により破綻した結界から現れたのは、何匹もの巨大な魔物。その一匹が口にくわえていた物を見て、少年は愕然と来る。見覚えのある入れ墨が彫り込まれた、屈強な腕。固く握りしめられていた、一本の刀。少年の眼前で、魔物は嘴にくわえた腕を美味そうに喰らう。落ちてきた、刀。家宝の、銀竜。母の亡骸を抱きしめ、父の形見を手に、少年は「鬼」となった。
戦火に燃える諏倭の国。そこに訪れた、痩身の女性。彼女の名は、天照。日本国の帝である。妹・月読の夢見により、諏倭の国の危機を知って駆けつけた。
魔物は、そのほとんどが既に倒された後だった。少年の、剣によって…。