「小狼…」
自分を呼んでいる、声。目の前にいるのは、鏡に映った、でも別の自分。
いつかも、こんな夢を見た。でも、眼前の少年はもっと小さかったはずだ。いまは小狼と同じくらいの背丈になっている。
鏡から差し出された、右手。がっちりと締め付けられる、首。苦しむ小狼。
…悪夢から小狼を引きずり出したのは、不安げな顔のさくらだった。ベンチで横たわるうちに、いつの間にか眠っていたらしい。
今居る国は、「レコルト国」。魔術を認める国であり、小狼達は巨大な学校の中にいた。その中でも、特に目を引いたのが図書館。そこは魔術から歴史まで、あらゆる本が一同に揃っている書庫だった。そこで彼らは背表紙に何も書かれていない本を見つける。表紙には「どこかで見覚えがある紋様」が描かれている。
「この本、なにもかかれてないぞ」
と訝った黒鋼から、小狼は本を受け取った。彼が本を手にすると…あたりは突然雨の中の松原に景色を変えた!