レースにトラップを仕掛けた犯人は、他ならぬレースの主催者、ピッフル・プリンセス社社長の知世だった。しかし、その事実に、ファイと黒鋼は驚いた気配はない。だが、次に知世は驚愕の事実を語る。
「聞いたとおりですね…知世姫から。」
レースの商品となったさくらの羽根は、ピッフル・プリンセス社の発掘グループが海底から持ち帰ったものだった。その国には存在しない素材でできた、とてつもなく大きな力を持ったもの。そして、そのあと見た夢で、「異世界での自分」である知世姫は、彼女に3つのことを教える。羽根のことと別の世界の存在、そしていつか来るはずの旅人たちのことを。しかし、そのことを知ったのは、彼女がすでに羽根の存在を世に知らしめてから。注目の的とされた羽根を、すんなりと誰かに渡すわけにはいかなかったのだ。そこで提案されたのが、羽根をレースの賞品にすること。レースでの妨害工作は、羽根を狙う輩への牽制と、小狼たちへの注意喚起のメッセージ。しかし、本選での最後の罠は、敵が仕掛けたものだった。
再度、笙悟や残も交えて仕切り直されたパーティ。にぎやかな宴席を傍目に、星空の下で黒鋼と知世が語り合っていた。負傷した左手を気遣う知世に、思わず黒鋼は知世姫の近況を尋ねてしまう。そんな彼に、優しい瞳を向ける知世。その姿に、黒鋼は実感した。
「魂は同じ、か」と。