トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.59−王の招き

小狼とさくらが降り立った世界、それは血で血を洗う戦場だった。
そして。戦を構える陣の中には、共に旅をしてきた仲間、ファイと黒鋼がいたのだ。
しかしながら、二人は小狼たちをみても顔色を変える気配もない。
そのとき。中天に月が昇りきる。辺りが揺らめきうごく。次の瞬間、小狼とさくらは、阿修羅王たちとともにその場から追い払われることに。
 
 先ほどまでいた場所…月の城。いまは夜空に浮かぶ月に連れ添うように浮くその場所には、阿修羅族は、月が中天に昇るまでの時間しかその場に留まれない。なぜその城は空を飛んでいるのか?なぜその場で戦いが繰り広げられるのか?
…疑問を口にする二人を訝しみ、敵の間者と疑う側近・倶摩羅。それを諭し、客人として城へ招きいれたのは、他ならぬ阿修羅王自身だった。
 
 ごちそうを用意してもてなす阿修羅王。侍女が手にしていたものに、さくらが反応する。玖楼国にも似たものがある弦楽器。赤面しながらも奏でた音色、それに合わせて舞う阿修羅王の姿は、見るものに至福の時を与えてくれた。
 宴のあと、小狼はモコナに問うた。
「この世界に羽根の気配は?」
 モコナは答える。
「強い力、感じる。一番強いのは、あの空に浮かんだ城。」
 その言葉を聞いて、小狼の決意した。
 さくらの羽根の在処と、そして夜叉王と随行していた二人の正体を知るために。