小狼たちがたどり着いた国、ピッフルワールド。そこはドラゴンフライと呼ばれる空飛ぶ移動機が行き交う大都市だった。小狼、サクラ、黒鋼、ファイの4人はこの国で「ドラゴンフライレース」に参加することになる。その理由は、優勝賞品にある。この国の電力を十分に供給し得る力をもつそれは、まさしく彼らが追い求めるサクラの記憶の羽根だった。だが、レースに出場するにもサクラの運転技量にはまだまだ難があり、練習飛行中の暴走の結果、4人のフライヤーが空中で衝突する羽目に。やむを得ず車で帰路を急ぐ途中、道路を横切る車とも危うく衝突しそうになる。啖呵を切って車外に出る黒鋼。だが、相手の車から出てきたのは愛らしい女の子。彼女こそがドラゴンフライレースを主催するピッフルプリンセスカンパニー社の社長、知世・ダイドウジ嬢であった。「レースに出場してくれるヒロインが必要なのです」とサクラの手を取る彼女は、彼女のレースでの活躍を記録することを宣言する。そんな彼女を見て、驚愕したのは黒鋼だった。彼女は、元居た国で仕えていた姫君にまるでうり二つだったからだ。
サクラの運転技術に問題点を抱えたまま、レース当日がやってきた。出場者は、これまでの旅路で彼らと見知った顔ばかり。だが、姿が同じでも魂は違うという旅立ちの時の言葉どおり、相手は4人を見ても何ら反応を示さない。時が来て、知世嬢がチェッカーフラグを振る。レース本番でもサクラをフォローする小狼。一方、レースの常連者と混じって先陣を走るファイと黒鋼。二人はそのままトップでゴールインする。だが、その直後、彼らを含め出場したフライヤーが一斉にエンジントラブルに襲われる。辛うじてトラブル前にゴールできたサクラだが、小狼のフライヤーはトラブルの影響をモロに受ける。無理な加速は爆発を招く…。そんな状況の下、3人組が彼の行方を阻む。ムリを承知で加速し、炎上しながらもゴールした小狼のフライヤー。だが、故意に引き起こされたトラブルの原因者が、出場者の中にいると小狼は疑惑の眼差しを向ける。