ついに現れた、イの1の鬼児。それは、バー「白詰草」のオーナーでありシンガーである女性、織葉だった。
「人に永遠の命を与えられる存在」。
双子の吸血鬼を追い求める星史郎は、わずかな情報を元に旅をつづけてきた。
「自分には、時間が惜しい」…笑顔のウラに隠された焦り。それゆえに星史郎はサクラの羽根の力を用いて桜都国に干渉したのだった。羽根の力は暴走をはじめ、仮想現実を具現化させる。静かに羽根を取り戻す決意を口にした小狼は、星史郎の元へ急ぎ足を運ぶ。
桜都国は仮想現実(ゲーム)の世界だった。龍王たちのように、生きた人間が演じるプレイヤーキャラクターと、ゲームが生み出すノンプレイヤーキャラクター。「イの1の鬼児」である織葉は、ゲームの管理者が演じるプレイヤーキャラクターであり、星史郎は彼女の実態こそが彼が追う吸血鬼・「昴流」だと考えた。だが、織葉が与える力は、ゲームの世界でのみ不死を与えるもの。彼女は、彼が求める答えを、何も持っていなかった。
ようやく星史郎の元へたどり着いた小狼。勝算…はない。しかし、追い求めるものを眼前にした彼は、ついに手にした剣を鞘から抜く。己の未熟さを意識しながらも、わずかな可能性にかけて剣を振るう小狼。その刃は、燃えさかる炎を発していた。だが、星史郎は、瞳の魔法具を発動させ、次元を超えて旅立った。手にできなかった、サクラの羽根。しかし、羽根は消えても、力だけは依然として残る。暴走を始めた鬼児たち。管理者ですら手に負えない鬼児だが、小狼は再び刀を抜く。「災いの原因が羽根だから、逃げるつもりはありません。」
命を落とすかもしれない、鬼児との戦い。桜都国とは違う、エドニス国という現実では、今度こそ本当に命を落とすかもしれないと諫止する千歳。しかし、黒鋼は毅然として言い放つ。「だが、それでもオレたちは命を張って戦ってきた。命を張って生きてねぇヤツに、人の生き死にを扱う資格はねぇ。」
彼らに事後を頼む、千歳と織葉。その時に織葉は、戦闘に参加できないサクラをフライング・ケージに連れ出す。鬼児と戦う小狼を見て、その成長を口にする織葉。仮想現実の世界での鍛錬が、くっきりと形として残ったことに、感慨の念を持つ千歳。二人は実感した。彼女たちが作った「実態のない世界」でも、現実に残るものがたくさんあることを。
鬼児を倒して、一安心の小狼たち。しかし、それは彼らの新たなる旅立ちのシグナルでもあった。黄金に輝くモコナ。星史郎が使った魔法具の力に引きづられて、新たなる旅が彼らを待つ…!