喫茶・猫の目に現れた人影。それは「新種の鬼児」「干渉者」とも呼ばれ、そして小狼に戦い方を教えた人物、星史郎だった。モコナにサクラを見守り、また「これから起こること」をつぶさに見て、小狼たちに伝えることを託したファイは、星史郎と対峙する。
二人は互いの力を知っていた。ファイが卓越した魔力の持ち主であることを。星史郎が、世界をわたるために右目を対価に魔法具を得ていることを。勝てるとは思えない戦い−。星史郎が繰り出す鬼児の猛攻に、ダーツを武器に挑むファイ。しかし、魔法を使わぬファイと星史郎との実力の差は歴然だった。鬼児の鋭い爪に襲われたファイ…。彼の「死」を見届けた星史郎は、懐から取り出したサクラの羽根の力を発動させる!
まばゆい不思議な光が、桜都国を包む。「現状の異変は、想定外の異変によるもの」…そう言葉を発するや、市役所の女の子が、バーテンダーのカルディナが、情報屋の絵里衣が、すももが、琴子が、次々と姿を消していく!
血に染まったように赤く、そして久しく満ち続けた月の下、小人の塔で猫の目に起きた異常を知らされた黒鋼と小狼。二人が目的地へたどり着いたとき、カフェは朝とは全く異なる様相を呈していた。鬼児に斃されたファイ。消えたサクラ姫。それらが星史郎がもたらした結果であることを知らされた小狼は、剣を強く握りしめ、黒鋼に後事を託す。
桜が乱れ咲く夜の公園で、羽根を手のひらにかざしながら、星史郎は立っていた。
「小狼…やっぱり一人で来たね。」
星史郎は語る。君は、初めて出会った「あのころ」のままだ、と。
ようやく手に入れた本を暴漢から守ろうとする小狼。そこに助けに入った星史郎。彼もまた小狼が手にした本の内容を知ろうとする男の一人だった。吸血鬼を追って旅する星史郎は、わずかな手がかりも探し求めていた。が、書に記されていたのは、かつてその国で用いられていた「古語」。読解できないとあきらめた彼に、小狼は翻訳をする代わりに、星史郎に戦い方の教えを請う。
恩人でありながら、旅の仲間であるファイの命を奪った星史郎に挑む小狼。舞い散る花びらが、姿形を変え、小狼を襲う。星史郎はイの1の鬼児を追っていた。「永遠の命を与える」その存在は、彼が追う吸血鬼かもしれない…。鬼児と戦う小狼。その姿を人ごとのように観ていた星史郎だが、それまで何匹にも分かれて操っていた鬼児たちを一本の巨刀に姿を変えた。
「最強の鬼児に会うために、それを倒す可能性のあるものには消えてもらう。死んでもらわないとね!」
深々と、胸に突き刺さる刃。その光景を、羽根の力に引き寄せられ、眼前で目の当たりにしたサクラ。光に包まれつつ、崩れ去ろうとする小狼の元へ駆け寄った彼女もまた、彼とともに光の中へ吸い込まれていく。
静寂が訪れた公園。ファイ、小狼、そしてサクラの運命は?そして、星史郎がつぶやいた「じゃあ、また」という言葉の真意は?