巨大な月が昇る、桜都国の夜。デート中のカップルが、鬼児に襲われた。鬼児狩りしか襲わないはずの鬼児が、なぜ?…翌朝、街はその話題で持ちきりになった。
そのころ、黒鋼と小狼の二人は、剣の修行に励んでいた。目隠しをしたまま、家までの道のりを歩くよう言い付けられた小狼。緋炎を手にしたまま、周囲の気配を察知する特訓。生きているものと、そうでないものを見分ける鍛錬。暗がりの小道に足を進めた彼。だが、その訓練は不意に中断させられる。生き物の気配がしないのに、追いかけてくる存在。
「なにやってんだ!」
目隠しを奪われた先に居たのは、鬼児!
危機を龍王に助けられた小狼。龍王と語らう小狼。剣を通じて相手の強さを実感したい。まだ出会ったことのない「強さ」に惹かれ、そんな相手と手合わせすることを熱望する龍王。未知なる何かに出会い、発見し、それを知る喜びを語る小狼。小狼の内に秘めた「炎」に共感した龍王は、彼をとある場所へ導こうとする。
そのころ、喫茶・猫の目。ファイと黒鋼はバー・白詰草のシンガーであり、オーナーである織葉の元へ、「新種の鬼児」に関する情報を求めて出かける。織葉は語る。桜都国の鬼児は、鬼児狩りが一般市民を誤って傷つけないよう、異形であること。しかし、新種の鬼児は人の形をしていること。−それはそれは、美しい男の子であったと。「鬼児の仲間は鬼児」−鬼児を御する、特別な力。それこそが、サクラの羽根だった。
上位の鬼児を操るために発動された、羽根の力。それに共鳴するように引き寄せられる、サクラ。夢遊病者のような足取りの彼女は、ちょうど龍王とともに、桜都国一の桜を見ようとした小狼の元にたどり着く。サクラが指さした先で、暗躍する鬼児。そして、鬼児たちを司る存在。桜の木枝に男性を見て、小狼はつぶやく。「星史郎さん…。どうして、この世界に…。」