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第16話−強さと優しさ

 次に小狼たちが降り立ったのは、決闘が繰り広げられる闘技場だった。「あそこから、羽に似た波動を感じるぅ!」とモコナが指さした先は、祭壇と、宝物を納めているように見える箱。それはいま繰り広げられている、この国で最強の勇者を決める大会の優勝賞品だという。
「その宝物が、姫の羽根かも…」
羽根のためには労を厭わぬ小狼と、戦いたくてうずうずしている黒鋼、そしていつの間にやら参加することになったファイ。対するこの国の男たちは、ゾラの雷(いかずち)という生まれつき備わる能力をもつ。飛び交う雷によりサクラが巻きこまれることを心配する小狼は、彼女にどこか安全な場所に待避するよう求める。
 
 場外を出て、森を散策するサクラは、一軒の家を見つける。
 その家から出てきた一人の男、キーファと、ちょうど香草を手に家へと戻ってきた女、シャルメ。サクラは、身体に巻かれた包帯が痛々しいキーファの瞳に、小狼の面影を見つける。聞けば、キーファも小狼たちが出場している大会に出場するためにこの地にきたのだが、その途中で野獣に襲われ、大けがを負ったという。
 
 ちょうどそのころ、闘技場。黒鋼の剣技、ファイの身のこなし、小狼の蹴りが決まり、いよいよ黒鋼とファイが対峙するときがきた。旅の仲間であっても雌雄を決しようとする黒鋼に対し、相変わらずのマイペースのファイ。勝負は、思わぬところでついた。黒鋼を挑発し、自らを追うようにし向けたファイは、持ち前の身のこなしで闘技場の外へ舞い出る。誘いに乗った黒鋼の身体も場外へ。そこに、勝負の決着を告げる銅鑼の音が。場外に出たら、その時点で負け。共倒れを狙った、ファイの頭脳勝ちだった。手にしていた剣を手渡すファイ。小狼は、彼の意図するところを解していた。
 
 青空の下、洗濯物を乾かすシャルメとサクラ。突然、シャルメが胸を押さえて倒れ込む。突然の発作。それは彼女が村の禁忌を破り古代の遺跡に足を踏み入れ、霊の怒りを買って呪いを受けたせいだった。彼女に残された命は、あとわずか。キーファが無理を圧して闘技場へ向かうのは、大会で優勝することで得られる宝物のためだったのだ。
 
 大会で優勝した小狼。そこへキーファが割って出る。炎と紛うほどの強さの雷をもつキーファの攻めを、鋭い身のこなしでかわす小狼。短い戦いの時を経て、二人は通じ合う。二人が、ともに抱く決意の強さを。それ故に、小狼はキーファに手渡した。「羽根の波動に似た」、勇者の証・古代の神器を。
 呪いを解き放たれたシャルメに、キーファは問う。なぜ危険を冒してまで、遺跡に入ったのかを。シャルメは答える。誰かさんと、結ばれたいから…。危険の代償に、願いが叶うという噂を、彼女は信じたようだ。想いが通じた二人を見送る4人とモコナ。ファイは口にした。もしキーファが狙った物が、サクラの羽根だったら…。その問いに、小狼は何も言わず、ただまっすぐな表情で答えを返した。