ある夜の玖楼国。砂嵐が吹きすさぶ窓の外を見ながら、王・桃矢と神官・雪兎が語らっていた。
その砂嵐は、不定期的に訪れる。発生理由もわからない。ただ、遺跡にある何かを守るかのように−。
遺跡に眠るチカラ。突然現れた、異世界の兵士。飛び散った、妹・サクラの記憶の羽根。そして、彼女と共に異世界へ旅立った、小狼のこと。彼は過去の記憶をかみしめながら、これからのサクラと小狼の行く先を案じていた。
異世界を旅するサクラ達が、次に訪れたのは桜都国。異世界から多くの旅人を迎えいれるその国は、華々しい女性達が出迎える花の都だった。4人はこれまでの旅で着た衣装を売り、この国で用いる名前を登録。住む場所も確保して、桜都国での新たなスタートを切った。
夜。血のように赤い満月の下、怪しげな影がうごめく。襲い来る、謎の怪物。小狼は得意の蹴りで敵を斃すことができたが、攻撃を避けきれず傷を負う。それを見て、黒鋼は何かを確信する。
翌朝、市役所を訪れた小狼たちは、市役所員から怪物の正体を教えられる。「鬼児」と呼ばれるそれはこの国にとって明らかな「敵」と認知されており、鬼児を倒すための専門家・「鬼児狩り」もいる。ファイは小狼と黒鋼は手っ取り早く収入が得られる「鬼児狩り」を、そしてサクラと自らは情報を得るために「カフェ」を営むことを考えた。
戦い好きの黒鋼が好きそうな仕事だが、意外にも彼はすんなりと首を縦には振らなかった。原因は、相棒となる小狼にあった。小狼には決定的な弱点がある−。彼の右目に視力がないことを見抜いた黒鋼は、鬼児狩りの途中で命を失うこともあると戒める。それでも小狼の決意は変わらない。ふたたび、突如襲い来る鬼児に、再び炸裂する蹴り。それが障害を補う、小狼なりの戦い方だったのだ。鬼児を倒し終わったところに現れた二人の影。「オレ達の獲物だったのに」と悔しがる彼らはいったい…。