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第15話−信じるココロ

 カイルこそが子ども達とサクラが失踪した事件の黒幕であることを突き止めた小狼。彼はカイルが催眠療法を用い、子ども達が自ら姿を消すようにし向けてきたことを指摘する。グロサムが記した子ども達の失踪リストと、自らのカルテをつきあわされたこと、そしてグロサムの手元にあった「もう一冊の」この国の歴史書が、小狼の手元に託されていたこと…。動かぬ証拠を次々に突きつけられ、カイルはついに真の姿を現す。
 「なぜ、私に目をつけた。」−小狼は答えた。カイルが口を滑らせた、「伝説に出てくる、サクラさんの羽根」という言葉。なぜ彼が「羽根」の真の持ち主を知っているのか…
 カイルは城の中へ駆け出す。これまで人を遠ざけていた城の前の川だが、流れが静まって見てみると、かつての橋桁が水中に没しており、くるぶし程度しか水深が無いようだ。小狼達は、城の中へカイルを追う。
 城の中では、休息の時を迎え眠りにつく子ども達の姿があった。無事子ども達を保護するも、「小狼の大事な人の姿」はそこにない。
 そのころ、子ども達の無事を知らせようと城の外へ出ようと走るサクラは、不意に物陰から現れた人物にぶつかった。
 「カイル先生!…」
手を伸ばす彼。だが、エメロードはささやいた。目の前に居る男こそが、すべての黒幕だということを。
 どうやらサクラも「真相」に気づいている…。そう悟ったカイルは、羽根を抱えるサクラを捕らえる。ちょうどその時、現場にたどり着いた小狼達。武器を手に、サクラの羽根を奪い取ろうとするカイルに対し、彼は果敢に飛びかかる。
 不意に、城に低い轟音が鳴り響き出す。と同時に、壁から濁流が押し寄せてきた。川の流れをせき止めて城内に入った小狼達だが、力任せに水門を操作したために水圧が予想外に高まったらしい。
 二手に分かれて城外へ出ることになった小狼達。だが、眼前で瓦礫が行く手を阻む。まさに追いつかんとするカイル。そこに、エメロードが現れる。サクラにしか見えない彼女の姿を前に、小狼はにわかにとまどう。彼女に導かれてたどり着いたのは、巨像が鎮座する広間だった。
「ここに隠し扉があります」…そうサクラに告げるエメロード。だが、そこには壁しかない。扉の存在を小狼に教えたサクラ。狐につままれたかのような顔をする小狼に、彼女は訴える。「…信じて。」
 小狼は返す。「オレが姫の言葉を…、疑うはずがありません。」そう話すとともに、サクラが示した場所に得意の蹴りを見舞う。
 しばらくして、カイルもその部屋にたどり着く。壁にぽっかりと空いた道を目にして、不敵な笑みを浮かべるカイル。しかし、彼の命運は、そこまでだった。より激しくなる震動に耐えきれず、巨像がカイルの元へと倒れかかって来たのだ。…それはまるで、エメロードがし向けた「天罰」のように。
 かろうじて城の外へと出られた小狼とサクラ。その胸には、死守できた彼女の羽根があった。羽根を覆う魔法の結界を破壊したエメロード。ようやく「なすべきこと」を終えた彼女は、天へと召されていく。羽根を取り戻したサクラ。だが、彼女は最後に気になる言葉を遺す。
「…気をつけて。誰かがずっと、あなた達を見ている…。」
 解けない謎はもう一つある。
「誰がカイルに、サクラの羽根の力・存在を教えたのか?」
 子ども達が戻り、歓喜に沸く街。礼を告げようと、診療所だった家に入るグロサム。そこには4人の姿は無く、代わりに一通の置き手紙があった。そこには、こう記されていた「どうか語り継いでください。…エメロード姫の、真実の伝説を…。」
 4人は新たな世界へと旅立った。いくつもの謎を抱えながら…。