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第14話−真実のレキシ

 雪に閉ざされたスピリットの街。消えた子ども達と、「大切な人」の所在を語り合う3人。彼らの言葉をまとめると、次の通りだ。
 ・子ども達が連れ去られたとき、不思議な力(魔法など)を使った気配はない。力ずくでさらった様子もない。
 ・スピリットの国では、魔力を持つ人々の存在は認知されていない。
 そこに現れた自警団の面々。町中をしらみつぶしに探したが、見つかる様子はない。怪しい城は川が行く手を阻んでいる。
 その城の中には、囚われの身のサクラが居た。牢屋の一室で、自由を拘束された彼女は、子ども達がどこかへと連れだって歩いていくのを見る。
 小狼たちは、問診に出かけようとするカイルと言葉を交わす。心身共に弱り切っている子ども達を見て回ろうとする彼は、大地主のグロサムが今回の一件に関与しているのではないかと疑う。グロサムはここ数年の凶作で、住民からの耕作料収入が得られていない状況だ。「払えないのなら、ここから出て行け」−そんな冷徹さとどん欲さを、カイルは勘ぐっているようだ。言葉を受け、次第にグロサムに疑惑を抱き始めたファイ達。しかし、小狼は冷静だった。
「真実は、たくさんの事実を集めてわかるものだから。」
 彼らはグロサムの家に足を運んだ。
 モコナの潜入により家の錠を外した彼らは、手がかりを求めて書斎を漁る。そこで見つけたのは、街から消えた子ども達の名が記された神と、一冊の歴史書、そして一枚の地図だった。
 そこに現れた影。それは館の主、グロサムのものだった。
 懸命に、それでいてひたむきに、真実を追い求める小狼の姿。そんな彼の姿勢に、グロサムは一つの言葉を伝える。
−この地方に住むものは沈黙を美徳とし、肝心なことは胸にしまうことが多かった。その理由の一つとして、幸福にまつわる言葉を『忌み言葉』とする風習があったというから、その名残だろう。幸せな出来事は、言葉や文字に表すと幸せが逃げてしまう−。この言葉を念頭に置いて読んでほしい、とグロサムは小狼に歴史書を託す。
 そんな歴史書を読みながら歩く帰り道に、小狼は不意に木の根に足を取られてしまう。
「あせるな。…見えるものも、見えなくなるぞ。」黒鋼は小狼に忠告する。
 歴史書を読み続けるに従い、小狼はグロサムが持つ歴史書がカイルの持つものよりも若干ページ数が多いことに気づく。
 その夕、カイルの診察室を訪れた小狼。小狼は、グロサムの容疑が深まったと語る。
 夜。降り積もる雪の中、カイルは窓の外に黒いマントを着た男の影を見つける。その影を追うカイル。
 そのころ、黒鋼とファイは城の水門小屋に居た。水流を司るハンドルを、力任せに回す黒鋼。用を足すと、水は流れを変える。が、ハンドルは折れて用をなさなくなっていた。
 牢獄の中のサクラは、ようやく部屋の錠を解き、子ども達の元へたどり着く。そこには、高い氷柱、そしてまつられるように頂に抱く羽根、そして幻の姫、エメロードの姿であった。
 エメロードは語る。羽根がもたらした皮肉な歴史を。
 国を戦乱に巻き込んだ、羽根の力。子ども達を流行病から守った、羽根の力。その後エメロードは自らの魔力を使い、羽根を封印する。
 しかし、いま子ども達が城に集められた理由は違う。「心悪しきものの行い」−それを阻もうとして、エメロードは街に姿を現していたのだ。解き明かされた歴史の真実を前に、300年の長きにわたり封印されていた力が解き放たれる…!
 そのころ。城の前に現れたカイル。水鏡のように静まった川面を見て怪訝げな顔を浮かべる彼の前に現れたのは、ファイ、黒鋼、そして小狼の三人だった。「すべての事件の黒幕は、あなたですね…。」果たして小狼は真実を探り当てたのか…?!