トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

第184話

  ヤングマガジン:2009年35号:2009.07.27.月.発売
 
「‥‥これはどう使うものなんだ」
静はタマゴを見ながらモコナに尋ねた。
「それは‥‥」
 
侑子の部屋の中,君尋は,泣き疲れてソファで眠ったマルとモロに毛布をかけると,部屋を出た。家の中をあちらこちらと見て回る。そして,今,大きな両開きの戸の前にやって来ていた。
 
そこは宝物庫。中にはいった君尋は,床に脱ぎ捨てられていた着物を手に取り,にぎりしめた。
「‥‥‥侑子さん」
 
いっぽう,縁側ではモコナの説明が終わっていた。
「その為に あのひとはおれに‥‥」
つぶやく静にモコナが話す。
「その卵からは何も産まれない」「だからこそ たった一度だけ使えるんだ」
「それを,おれに選べっていうのか」
静は,両手でタマゴをしっかりといだいた。
 
その静が,はっと顔色を変え,右目に手をやった。
そこに映るのは2人の小狼。片方が眼鏡を差し出している。続いて,眼鏡を受け取る君尋の動作……。
静は,立ち上がった。
「四月一日は選んだ 小狼達も」
立ち去る静を見送り,モコナはことばを続ける。
「みんなが自分で選んだ事だから きっとそれぞれの幸せに繋がる」
「そうだな」「‥‥侑子」
天を仰いで,ことばを投げかけた。
 
静が宝物庫の戸をあけはなった。中には,左腕に侑子の着物をかけ,右手に持った眼鏡を見つめて,君尋が立っていた。