みんな頑張ってる
―――――自分に出来ることを
四月一日はまた夢でサクラに会った。
「どうしたの?怪我したの?」サクラは心配そうに言う。
「ううんちょっと違うんだけど。でも大丈夫だよ」と四月一日は笑って言った。
「私、何も出来ないかもしれないけどせめて心配だけはさせて・・・」
「心配させてくれない人がいるの?」
「多分・・・ファイさんが・・・」
「ファイさんは今まで沢山つらい思いをしてきたのに一人で頑張ってきた。だけど私はファイさんのやさしい嘘ごとファイさんを信じたいの。だからファイさんがあの世界にある私の躯で忘れてしまった過去を思い出せるように。
私、東京で夢見てしまった時から小狼くんに辛く当たっていた・・・。あの瞬間までは私が夢見たとおりに振舞わなければならなかったから・・・。」
そんなサクラに四月一日は優しく言った。「でも小狼くんが俺と似てるのなら俺はサクラちゃんがそんなことする子じゃないって分かってるし大丈夫だよ」
そしてサクラは言った。「ほんとに似てる・・・。誕生日も同じだし。」
「俺名前も4月1日なんだよ。四月一日って読むんだ。でも両親は・・・」
その時四月一日ははっとした。両親の名前が思い出せないのだ。
そして倒れこむと目の前に同じように倒れこむ小狼がいた。
「 き え る な 」
そう小狼が目で訴える。
そして四月一日は気付くと学校で百目鬼に支えられていた。
「もう帰れ」と百目鬼は心配そうに言う。
「俺の両親の・・・両親の名前が思い出せないんだ・・・」四月一日はそう呟いた。