トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

戻 第40回

《xxxHOLiC・戻》第40回
  ヤングマガジン:2015年24号:2015.05.11.月.発売
 
「成分的には そうらしい」
静があっさり言う。
「成分は 琥珀と同じだが」「中身がな」
そのとき,その琥珀?の中で,何かが“すいっ”
「!?」
驚く君尋。あらためて箱の中のそれをじっと見る。
「動い…た…?」
「生体反応があるそうだ」
中で生き物が生きてられるのかと尋ねるモコナ。
「無理だろうな 通常なら」
「通常じゃないってことか」と,君尋。
「教授が,おまえなら何か分かるんじゃないかと」
「教授,この店のこと 面倒な物の鑑定屋か預かり所と思ってねぇか」
「対価は支払うそうだ」
話を進める静に,君尋も合わせる。
「結構いいもん持ってんだよなぁ 教授」
そして,ワイングラスを右手で持ち上げ,
「依頼は」
「それが何か,を 知りたいそうだ」
「その願い 叶えよう」
それだけ言うと,食事に戻った。
「さて 冷める 喰え」
君尋は,目の端で,その琥珀に視線を走らせていた。
 
「四月一日ー いっしょにねる?」
ベッドの前に来たマルとモロは,パジャマ姿で枕をかかえている。
「今日は 夢で用があるんでな」
君尋は,両の手で,2人の頭をなでてやり,おでこに“ちゅっ”“ちゅっ”
はしゃぎながら,2人は出ていく。
「ま… 叱られるだろうなぁ」
言いながら,君尋は,ベッドに横になった。
 
目をあけて,右横を見る。
「…遙さん…」
2人は,並んで店の縁側に腰かけていた。遙の左指にはさんだ煙草から,煙がただよっている。
「やあ」「久しぶり」
「…ごめんなさい」
「謝るようなことをした自覚はある ってことかな」
「それは…」「はい」
そんなかわいい顔されたら叱れないと言い,さらに続ける。
「みんなを心配させて」「私に叱られる覚悟もあって それでも」「彼の欲しいものを探したかったんだろう」「なら それでいい」
いいのかとまだ言う君尋に,心配させるのは子供の仕事だと返す。
「孫の友人だ」「私にとっては子供だよ いつまで経っても」
君尋の顔が,ゆるんだ。
「つまり いつまで経っても遙さんには頭があがらない って事ですね」
「そうとも言えるね」
静がまた妙なものを持って来たと,君尋は,本題にはいった。
「琥珀 なんですけど」「中で 何か まだ生きてるらしくて」
「何がいた?」
「まだ はっきりとは」
「中身も気になるが」「こういう『もの』はね 来るべき時に来るべき所へ 来るものだ」
「あれも」「そうなんでしょうか」
「それは これから分かるだろう」「すでに縁(エニシ)が繋がったから」