トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.190−世界を知る者達

 玖楼国へやってきた、幼き日の『小狼』。その眼前にいるのは、潔斎中のさくらの姿だった。歩み寄ろうとする『小狼』に反応して、バランスを崩すさくら。彼女を起こそうとして走り来る『小狼』を、彼女は鋭く拒む。
 潔斎中の彼女は不触の誓いを立てていた。満願までの6日間は、たとえ肉親であっても触ることも触れることもできない。とはいえ、異世界から突然現れた来訪者に親しみを感じた彼女は、その後も水場のほとりに腰掛けながら睦語る。
 そこに、一人の女性が現れる。
「母様!」
と驚くさくら。玖楼国一の魔力を有する神官であり、さくらの母である彼女はまた、未来を夢で見ることができる「夢見」でもあった。『小狼』は、さくらと同じ名の母が幼いころの姿に似ているのと同様に、彼女の母にもまた祖母の面影を見いだしていた。彼の来訪を視ていた彼女は、さくらとともに『小狼』を夕餉に城へと誘う。
 砂上の楼閣である玖楼城についた『小狼』。そこで彼は、さくらの父であり国王の藤隆と会う。挨拶を交わした後、食卓へと向かうさくらと『小狼』の後ろ姿を見ながら、彼は妻に問いかけた。
「…彼がそうなんですね」
「ええ。桜姫の、運命の人です」