そよ風が吹く、穏やかな日本国・白鷺城。さくらは、その日本国でもっとも樹齢の長い桜の神木に抱かれながら、傷ついたその身を保っていた。
その様子を見る3人の元に現れたのは、日本国の王である乾闥婆王と、彼らと同じく次元を渡る旅をする封真だ。東京国以来の再会となる彼は、片手に大きな荷物を持っていた。包みを解くと、そこにあるのはメカニカルな義手。ピッフル国で手に入れたというそれは、侑子が封真に課した次元を渡ることへの対価であり、ファイが残り少ない魔力を差し出すことの対価であり、またピッフル国と日本国に住まう二人の「知世」の尽力であった。
表皮に覆われることのない、むき出しの義手を身につける黒鋼。その時、日本国にもう一人の客人が現れる。それは、封真の兄であり、小狼の恩師である男、星史郎の姿であった。