トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.164−優しさと弱さ

 アシュラ王が放った非情の魔法弾が、黒鋼の体を貫通する。その瞬間を目の当たりにしたファイだが、全力で立ち向かう「敵」は、一部ながらも魔力の源を奪われた彼にとってはあまりに強大すぎた。この戦いで、すべての「願い」を「終わらせる」こと…。ファイは玉砕覚悟でアシュラ王に挑む。が、アシュラ王の魔力はすでにファイのそれとは比にならなかった。
 「私と一緒に死のうとしたんだね。たとえ両の眼が揃っていても、それでは私には勝てないよ。」アシュラ王は知っていた。ファイが生まれて以来負い続けた咎の代償に、自らの生にも終止符を打つことを願っていたことを。自ら死に追いこんだ兄弟をもう一度蘇らせることが、ファイが生きることの「意味」であることを。一方で、ファイにとって、共に旅を続けてきた3人の価値が如何に重くなってきているかを…。アシュラ王は、氷塊の弾を乱れ撃って小狼の動きを奪い、さらにとどめの一撃を放つ。その時、自らも満身創痍であるはずの黒鋼が小狼の危機を救い出す。なおも五月雨の如く魔法弾を打ち放つ、強大なアシュラ王の魔力から彼を護るのは、旅立ちの前に知世姫が施した守護印。その加護に守られながら、ついに黒鋼の愛刀がアシュラ王の体を突き抜ける!