トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.139−迷宮の少女

 3人の手から、『小狼』に向け放たれた攻撃。それはこの試合では禁じられている、飛び道具を使ったものだった。
 勝利のためには、方法を選ばない。それが相手の戦略だった。同じく、武器から放たれた毒蜂の一刺しで、身体の自由を奪われるファイと黒鋼。傷つく仲間を見て、心の自由を奪われるさくら。
 試合を盛り上げるためには、方法を選ばない。それが主催者の考えだった。元より非合法な試合だけに、多少の不正に対して事を荒立てない。これまで死者を出しながらも、組織とゲームを守ってきたマフィア・イーグルの目は冷徹だった。
 そして、願いを叶えるためには、方法を選ばない。それがさくらたちの考えだった。身を賭けたチェスの商品と引き替えに、小狼が破壊した国の平和を願う。そんな危険な戦いに自ら身を投じてまでも、償いたい罪。そして、どれだけ傷ついても、守りたい笑顔。繰り返し放たれる卑劣な技に、『小狼』は心眼でいなす。躱す拳で放った一撃は、全てを乗り越えるための強さを秘めていたのだった。