炎を放つ守護獣。その攻撃をかわした小狼だが、炎の行き先を気にかける。そう、ここは図書館。貴重な書が炎によって灰燼に帰すのでは?との懸念だった。だが、その心配は杞憂だった。本には効かない攻撃魔法。
守護獣に対し、刃で立ち向かおうとする黒鋼。しかし、モコナのチカラで武器を取り出そうにも、武器に対してもプロテクトがかかっている。
辛うじて図書館の外へ逃げ出せた4人。だが、目の前は海。泳いで渡ろうにも、それはすべてを溶かす魔法がかけられていた。
ほどなく追いつく、図書館の守護獣。
忍び寄る、絶体絶命の危機。
だがここで、ついに彼が自らに課した仮面を脱ぎ捨てる。
「だって、口笛吹けないんだも〜ん」
高麗国で、にこやかな顔で答えたファイ。
その笑みが、顔から消えるとき。
その唇から、澄んだ口笛の音が響くとき。
…ついに稀代の魔術師が、友の危機を打開するために、封印したはずのチカラを放つ!
その魔術は、防御魔法を無効化するものだった。
ようやく発動できた、モコナの「次元を渡る魔法陣」。
それは、ファイが自らを新たな世界に旅立たせるためのものだったのかもしれない。