トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.103−思い出の遺跡

 迫り来る竜。小狼は、さくらの手を取るや、脱兎のごとく駆けだした。
「サクラの羽根に近づいてるよ!」
追われながらも、図書館のさらに奥へ進む4人。彼らは、つぎに驚くべき光景を眼にする。
 図書館にいるはずなのに、彼らの頭上には青い空が広がる。足下には、砂丘。そして、眼前には、羽ばたこうと翼を広げるかのようにそびえる、あの遺跡の姿があった。それは、小狼とさくらの旅立ちの地、玖楼国にあるものだった。
「モコナ、移動してないよ。」
訝る彼らに先手を打つように、モコナがつぶやく。
「これは『記憶』だよ」
うつむき加減に、ファイが語る。『記憶の本』の中にある記憶はさくらのものだから、それを守るための仕掛けも彼女の記憶で出来ているらしい。
 思い出の遺跡を前に、さくらは回想していた。
 遺跡を発掘する人たちのこと、そしてその中にいた考古学者のこと。遺跡に遊びに行こうとすると、王である兄にいつも叱られていたこと。…二人の出会いの核心に近づいていく彼女の言葉を聞きながら、小狼は感情を殺し、押し黙っていた…。
 二人の思い出が詰まる遺跡。4人は、その奥に歩を進める。階段を下りた先の部屋の床に描かれていたのは、羽根を広げたモチーフの巨大な紋章。
「羽根の波動、この下から感じる」。
そうモコナが口にした瞬間…、遺跡に異変が生じる!