トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.31−最後の攻防

 封印された羽根のカケラを抱くさくら。彼女に向けて振り下ろされたカイルの短刀。すかさず飛び込み、自らの身を傷つけながらもさくらの身を守った小狼。
 そのとき、城が突如轟音を立てた。頭上を見上げた小狼たち。次の瞬間、川の水を堰き止めていた装置が壊れ、城内に滝のようになだれ込んできた!
崩れ落ちる城。叫ぶ小狼。
「子供達を上へ!!」
…小狼の覚悟は、大切な人のために羽根を取り戻すこと、そして命を引き替えにしても愛する人を守り抜くこと。その胸の内を知る黒鋼とファイは、素直に小狼の言葉に従う。
 さくらの手を取り、城内を駆けだした小狼。城の見取り図を記憶している小狼の足取りに、間違いは無いはずだった。しかし、崩壊の足音は、小狼たちを不意に襲う!このまま行けば地上に出られるはずの道が、崩れ落ちた瓦礫によってふさがれてしまったのだ!
 背後にはカイルの姿が。小狼はさくらに、カイルを引き止めた隙にもと来た道を戻り、単身地上に戻ることを勧める。「だめ!」全身で拒むさくら。そんな二人の窮地に、再び舞い降りてきたエメロード。エメロードは、かつてその城に住んでいた者にしかわかり得ない秘密の道を指し示す。さくらは彼女にしかわからないメッセージを小狼に伝えると、小狼は得意の足蹴りで道を切り開く!
 迫り来るカイル。その時、水の流れが小狼たちとカイルとを引き離す!
 外では、川の流れが次第に速くなっていた。二人の安否を気にするグロサム。目を閉じるファイと黒鋼。そこに上がった水しぶき。手をさしのべる黒鋼。その手の先には、さくらを抱きかかえる小狼がいた。
 崩れ落ちた古城。手を差し出し、二人が命をかけて守り抜いた羽根を、元の形に戻したエメロード。三百年前、この羽根の力で子ども達を救った彼女が、姿は変われども時を経て、ようやく持ち主に戻すことができたのだ。このとき、エメロードはこう告げた。
「気を付けて…。誰かがずっと、貴方達を視ている…。」