トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.21−最愛の鏡

 領主の秘術により、意のままに操られる街の住民に囲まれた小狼。彼らに攻撃すれば、その何倍もの苦痛が囚われのさくらと春香が味わうことになる。
 絶体絶命の危機。
 意識を取り戻した春香とさくら。一斉に攻撃を始める住民達。小狼はひれ伏し、ただ叩きのめされるほか無かった。
 頭上でその様を見守るしかなかった春香とさくら。
「助けて!…助けて、小狼!!」
領主は知らなかった。さくらと小狼の関係を。
小狼の想いとは裏腹に、さくらはもはや彼を「小狼」とは呼ばない現実を。
 頭上の春香とさくらが秘術で出来たまやかしであることを知った彼に、もはや恐れるものはない。すかさず領主の間合いに踏み込んで、得意の蹴りが舞う!
しかし、その攻撃はすんでの所で止められる。身を挺して領主を庇う村人の姿。次の瞬間、再び彼らの攻めにより小狼は宙に舞う。
 再度、窮地に陥る小狼。しかし、助けの手は思わぬところからさしのべられる。
「みんな!目を覚ませ!!」
そこには、人にかけられた術を解く、亡き母の形見を手にした春香と、その脇に立つさくらの姿があった。春香は自ら操る秘術の弱さを知りながらも、鏡と亡き母に懸けて村人達を領主の意のままにさせないことを言い放つ。
 そこに遅れて現れたファイと黒鋼。形勢逆転、たちまち困難に陥る領主。羽根を取り戻そうとにじり寄る小狼。「この羽根の力を使えば春香の母を生き返らせるかもしれない」と苦し紛れに逃口を放つ領主。
「どんな力を使っても、失った命は戻らない!」
母の言葉を思い出し、堰き止めていた涙を流しながら叫ぶ春香。その姿に小狼は、「ならば、仇を討ちたいか」と問う。「それで気が済むならいい。けれど、春香が手をかける価値のある男か?」
…その言葉に春香は、「こんな奴、殴る手が勿体ない!」と言い放つ。
 再び領主に迫る小狼。背水の陣の領主。その首筋に、刃のごとき鋭い爪先があてられる。戦いにピリオドを打つ、その手の実体は…?