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第6話−泣かないナミダ

 小狼と笙悟の、功断でのバトル。
 ファイとプリメーラの戦いの中で、功断での戦い方を覚えたらしい小狼。笙悟の攻撃をはね返し、あまつさえ笙悟をも吹き飛ばすその「強さ」に、笙悟も全力の戦いを挑む。激しい水流で小狼を攻め立てるが、小狼は功断を使って身を守る。その戦いぶりに感化された正義は何かを決意する。
 水流の勢いで激しく揺れるハンシン城天守閣。その上に居るプリメーラはなす術がなく泣き叫ぶのみ。正義は単身天守閣に上り、彼女の身を助けようとする。
 その時、崩れ落ちようとする天守閣。プリメーラのみをかばおうと覆いかかる正義。その『ココロ』に、彼の功断が反応する。
 難を免れた正義。だが、彼が見たものは、巨大化した彼の功断の姿だった。その大きさにあ然とする一同。サクラの羽根は、彼の功断の中にあったのだ。
 強い力を持つ羽根の影響で、制御不能となった正義の功断。口からは、街を業火に包まんとするほどのエネルギー弾を放ちつつ、主である正義を両手に抱え、街へと歩き出した。圧倒的な力。それでも小狼の決意は揺るがなかった。サクラの羽根を取り戻す、という…。
 功断の胸の中に取り込まれた羽根。それを取り戻すために、懐に飛び込んだ小狼。のばした拳の先からは、すさまじいエネルギーが放たれる。手が羽根に届かんとするとき、突如正義が苦悶の表情を浮かべる。功断へのダメージは操者へも伝わる。その身を案じた小狼。だが、正義は言った。「功断の中に小狼君の羽根があるのなら、ちゃんと渡したい…。だから、熱くても平気です…。…取ってください!」
 なんとか羽根を手にした小狼。その羽根を大事に抱え、彼は希望と安堵の笑みを浮かべた。
 
 夜。横たわるサクラの身に、羽根をかざした小狼。羽根はその身に取り込まれ、やがてサクラの瞳が開かれる。その手を握りしめ、彼女の身をひたすら案じてきた小狼。だが、彼女が彼に放ったのは、冷徹な一言だった。
 「…あなた、だあれ?」
 彼女の身を救うため、代償にした『関係性』。その『対価』の大きさを、改めて痛感した小狼。平静を装い、彼女が置かれた状況と、共に旅する仲間を紹介するが、その落胆の色は隠しきれなかった。雨がふりしきる部屋の外で、彼は何を思うのだろうか。
 翌日。世話になった空汰夫妻や、戦いを通じて分かり合った笙悟たち、そしてこの国で共に戦った功断との別れの刻が来る。次の世界へ、旅立つ時が…。