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第2話−戦うチカラ

 小狼とサクラ、ファイそして黒鋼は、異世界・ニホン国にいる「次元の魔女」侑子の元へと引き寄せられるかのごとくたどり着いた。
 降りはじめた雨の中、小狼は懇願した。
 「サクラを助けてください!」
 羽根が散ったせいで、魂のない抜け殻になったサクラ。彼女に手をかざした侑子は語る。このままでは、遠からず彼女に死が訪れることを…。
 侑子はアシスタントである四月一日(わたぬき)に、あるものを持ってくるように頼んだ。
 小狼は詰め寄る。サクラの命を助ける術を。
 侑子は答える。助ける方法ただ一つ、色々な国へ飛び散った、彼女の記憶のかけらを集める事だと…。
 侑子は続いて黒鋼、ファイに願いを尋ねた。元居た国に帰りたい者、帰りたくない者。相反する願いを聞いた侑子は答えた。「目的は違っても手段は一緒。ようは違う自分、異世界へ行きたい」のだと…。
ただ、そのためには対価=願いを叶えるためには、それ相応の価値があるものを差し出さなければならない。異世界へ渡る対価は大きく、それぞれの願いを個々に叶えることはできない。三人の、もっとも価値のあるもの。次元を渡るチカラには、三人分の対価が必要だ。
 黒鋼には愛刀・銀竜を、ファイには背中の紋様を。そして、小狼にはサクラと小狼との関係性を。たとえ彼女がすべての記憶のかけらを集めても、二度と同じ関係には戻れない。
 「その子は…あなたにとって…何?」
 記憶をたどる小狼。幼なじみで…、クロウ国のお姫様で…、そして彼の「一番大切な人」。かけがえのない存在であるが故に…、彼は決意した。
 「サクラは絶対死なせない!」
 侑子は異世界の旅がいかに困難かを告げる。文化や風習、時には常識が通じない世界、同じ姿をしていても全く違う生活人々…。命を落とすかもしれない。いつ終わるかも分からない。それでも、どこにあるのか分からない、記憶のかけらを集める旅ができるのか…?
 しかし、小狼の決心は揺るがなかった。その覚悟を見極めた侑子。
 「覚悟と誠意。…何かをやり遂げるために必要なものが、あなたにはちゃんと備わってるようね。」
 決意を見定めた侑子は、ちょうど四月一日が持ってきた「異世界へと導く者」、モコナ=モドキを紹介する。モコナは異世界へ連れて行くことは出来ても、行き先をコントロールすることはできない。
 三人の願いが叶うかどうかは、運次第。けれど、世の中には偶然はない。あるのは必然だけ…。三人が出会ったのも、また必然。
 侑子が三人に語る。
 そして、三人の旅が始まった。モコナは輝き、小狼たちに光を浴びせたかと思うと、一気にモコナは光に包まれた小狼たちを口に飲み込むんだ・・・。
 異世界へと移動の最中、炎の固まりのような物体が小狼に近づく。そして、その炎は狼の形をしていて鋭い様相で小狼に語りかけた・・・。
 気がつくと、目の前にはモコナの姿が・・・。
 目が覚めると、そこは、異世界だった。そして、お互い自己紹介を始めたが、ファイは黒鋼を少しおちょくるように話しかけた。辺りを見回すと煙があがり荒れ果てた町並みも見えた。
 氷のように冷たいサクラを抱きかかえ心配になる小狼だが、それも束の間、後ろの方から声が聞こえた。速く逃げるように促される。
 声の主は「正義(まさよし)」、学生服を着たかなりひ弱そうな子だった。
 その直後、ギャング風の若いグループ同士がにらみをきかせていた。正義によるとな
わばり争いが行われているとの事だった。武器を持ってないグループに黒鋼は疑問を
抱いた。もちろん巧断だ、と言われるが、小狼たちには分からない。
すると、争いが始まった。お互いが激突するかに思われた戦いは、意外な展開に・・
・。それは体から気のような物が飛び出し戦い始めた。銃で撃つように気をお互いが
撃ちまくる。
そんななか、ファイは小狼の服に付いていた記憶の羽根を発見する。しかし、巧断の流れ弾が小狼たち目がけて飛び込んできた。そして、爆風で羽根は小狼の手を離れた。
 空高く舞い上がる羽根を追いかける小狼、危険を顧みず羽根を追いかける小狼に正義は驚きを隠せない。
 何とか羽根を掴む小狼にも向けられた攻撃!!その時、異世界を移動していたときに夢見た炎の狼が小狼を守った。そして、小狼は巧断に自分の意志を伝え戦い始めた。そして、争いが収まり手にした羽根を見つめた矢先、背後から先ほどのグループが小狼の巧断に興味を持ったのか自己紹介をした。「浅黄笙悟」、水の巧断を操り小狼に勝負を挑んできたのだった。