1929 《xxxHOLiC・籠》第200回:スト紹です

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■ 《xxxHOLiC・籠》第200回:スト紹です
黒鋼(ツバサ) [1929] 黒ジィ フレンドメール訂正Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.2) Gecko/20100115 Firefox/3.6 2010/02/24(Wen) 00:28
「今の‥‥!!」
「飛び降りた音です」
驚く君尋に,女性はふつうの調子で答えた。
「ここに置いてくれたひとが,そこのベランダから飛び降りた音です」
がくぜんとする君尋。
「さっき,貴方が来る前にベランダに出たから もう駄目かなって」
「‥‥何が 駄目だったんですか」
「わたしと居ることです」
自分といると怖くなるからと答え,とまどう君尋が,なぐられるほうがずっと怖いのではと言うと……。
「怖くないですよ」「殴られても変わりませんから」「怪我はしますけど 治りますし」
「でも 治るまではずっと痛いし その時間はやっぱり‥‥」
君尋のことばを彼女の声がさえぎる。
「時間はいいんです」「わたし 歳を取りませんから」
君尋は,立ちつくした。

「あのひと 今年で62歳だったから」「会って40年くらいですね」
最初は,いつまでも変わらないと喜んでいたが,何十年変わらないことで怖くなったようで,暴れたりなぐったりしだした。なぐって怖いのがましになるなら,一緒にいてくれるなら,そう思っていたと言う。

「もう いいかな」「『普通』にしてなくても」
言いつつ,髪に手をやる。
肩のあたりまでかかっていた髪が,波打つように広がっていく。背たけも越えて伸び広がったとき,床に横たわり,手をついて上半身を起こしたその体には,もう,ひとつの傷もなかった。

「貴方は‥‥ 一体‥‥」
人間だったような気がするが,あまりに長い間生きていて忘れた,と言う。
相手を見上げるその目から,真っ赤な涙がほおを伝った。そのしずくが,丸くなる……。
君尋は,思わずつぶやいた。
「紅い‥‥」「‥‥真珠」
手のひらの真珠を見つめながら,彼女は言う。
「何故でしょうね 一緒に居てくれたひとが死ぬと」「こうやって真珠が産まれるんです」
「それは‥‥」「貴方が悲しんでいるからだと思います」
はっと表情を変え,真珠をにぎったこぶしにほおずりをする。
「そう」「わたし まだ ‥‥悲しいって感じられるんだ」
そして,手を君尋のほうへ伸ばす。
「いいんですか」
「約束ですし」「それに 貴方ならいいんです」
「貴方も」「‥‥わたしと同じでしょう」
真珠は,開かれたその手から君尋の手のひらへと,落としこまれた。
□ Re: 《xxxHOLiC・籠》第200回:スト紹です
小狼(カードキャプターさくら) [1929.1] 中佐 (65回)
昇級まで35回 ちょこ フレンドメール訂正Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; InfoPath.1; .NET CLR 3.0.04506.30; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729) 2010/02/24(Wen) 07:24
紅い真珠物語…どこかで、こんな話読んだことある^^;ってのが感想。
結局、この女の人は永遠に年齢をとらないということは、人でないものでアヤカシのたぐいですかね。
四月一日君と同じようなものかしら。
なんだか四月一日もアヤカシと同じだよって言ってるようなもんですよねえ。
□ Re: 《xxxHOLiC・籠》第200回:スト紹です
乾闥婆王(聖伝) [1929.2] 中尉 (10回)
昇級まで5回 ずんける リンクフレンドメール訂正Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.1; ja; rv:1.9.2) Gecko/20100115 Firefox/3.6 2010/02/25(Thu) 00:00
ずんけるです。
黒ジィさん、スト紹ありがとうございます。
この女性、不老不死…ということでしょうか。
その場合、痛みも感じない…、と。
その意味では、ワタちんはダメージがある分、ややアヤカシの一線(←彼女をアヤカシだとするならば)からは離れてるのかもしれません。

それにしても…
傍にいる人と時間軸が異なる場合、こんな風に心が壊れていくものなんでしょうか…?
ツバサの場合、ファイと黒鋼では魔力の有無によって時間軸が違う(歳の取り方が異なる)のですが、こんな風に荒んでいく…ようには思えないのですが…。う〜む。
□ Re: 《xxxHOLiC・籠》第200回:スト紹です
ラーグ/ノーマル(ツバサ) [1929.3] シュウ フレンドメール訂正Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.04506.30; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 3.0.04506.648; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729) 2010/02/25(Thu) 00:55
スト紹介、いつもありがとうございます。

涙が真珠になるのは確か人魚だったような。でも人魚がフツーの家にいるはずないし。人魚の肉を食べると800歳まで生きるとも言いますが、人魚そのものに不老の効果があるのかどうかまではちょっと覚えていません。どちらにしても、ワタちんが前回見た『ひらひらとしたもの』は現代に紛れ込むために擬態しているという前提でなら人魚の尾っぽ、というのもアリです。
ただこの部屋の住人が殴って怪我をさせることが出来る、という点が気にかかります。姿形が変わらないことを恐れる、とありましたからぬいぐるみの類いではなさそう。カメみたいに元々長寿とわかっているものでもなさそうな。ここはやはり人魚かな?と思うのですが。当然分類上はアヤカシになるのでしょうね。ちょっと微妙ですが。
□ Re: 《xxxHOLiC・籠》第200回:スト紹です
黒鋼(ツバサ) [1929.4] 黒ジィ フレンドメール訂正Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.2) Gecko/20100115 Firefox/3.6 2010/02/27(Sat) 12:08
黒ジィです
今回の話で,「女性」の正体うんぬんは,ぼくの場合,別のことのかげにかくれてしまいました。まず思ったことは,《こばと。》にも登場する琥珀のことです。ヒトと非常に長命な「ヒトのようなヒトならぬ存在」のかかわり,という問題ですね。

《こばと。》第4巻で,琥珀は「今日までで e一郎さんと5回お別れしました」と話しています。幸せそうですが,「同じ心」の持ち主と出会えた前の5回もおそらく幸せだったんでしょう。

ほかのかたの作品になりますが,似たような組み合わせに,藤島康介先生の《○○っ◇□さまっ》があります。20年以上連載が続いているのに,作中ではせいぜい5〜7年も経ったかどうか。まだ,1回目の巡り会いのはずですが,第21巻で,主人公が,恋人の同族のひとりに(恋人本人には言いづらいか……),彼らの時がヒトとは別次元であることの確認をしたうえで,言います。
「うん……」「わかってはいたんだよ たぶんそうだって」
「わかっていて 考えないようにしていた」「でも」
「本当に悲しいのは」
「君たち残されていく者なんじゃないのか?」
「そうやって永い時を過ごして」「いくつ別れを経験してきたんだ」
相手は,ちょっと考えてからこう言います。
「憶えておいてください」
「私たち◇□は 出会った人々を」「決して忘れないという事を―」
このような組み合わせになってしまった場合の,自覚も含めた心のありよう(?適当なことばがわからない!)のいいかたちのひとつかと思います。

けれど,そのような思いに至ることができず,歳をとらない「ヒトのようなモノ」に対して恐怖を感じるヒトも,いて当然でしょう。
今回の話では,悲惨な終局を迎えたわけですが,この「女性」,以前はどうだったんでしょうか。幸せなまま相手の最期を見送る暮らしもあった,そう思いたいです。



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