トップページデータノート「XXXHOLiC」ストーリー紹介(コミック版)

第190話

《xxxHOLiC・籠》第190回
  ヤングマガジン:2009年48号:2009.10.26.月.発売
 
暗闇の中を歩く君尋。その先に,着物姿の女性がすわりこんでいる。
その顔を見て,君尋はちょっと驚いた。
 
彼を見る目からは一筋の涙が流れ……,
びぃーん。その口から出たかのように,三味線の音が響く。
そして,君尋にすがりついてくると,耳元でささやいた。
「‥‥打(ぶ)って」
 
目をはっと開く君尋。起き上がり,ベッドに腰をかけてつぶやいた。
「‥‥打(ぶ)って‥‥?」
三味線は,椅子の座面に立てかけたままになっていた。
 
朝。
「打(ぶ)って?」
静が君尋に尋ねた。
「ああ 確かにそう言った」
2人とモコナ。寝室のカーペットの上にちゃぶ台を置いての朝食だ。
「夢の中で視たひと 依頼人と同じだったけど」「あれは,おれに分かりやすいようにとった容姿(カタチ)だろう」
しかし,瞳(め)は猫の瞳だった,そう君尋が言う。
「で 夢の中でその三味線が」「打ってと言ったと」
静が念を押す。
「三味線を打つのは‥‥」
君尋は記憶をたどった。
 
宝物庫の中。
「こっちの棚でいいのか」
静が,はしごの上から声をかける。
「おう 確かに,先月の片付けの時にこっちに‥‥」
君尋が答える横で,
「倉庫番ー♪ 倉庫番ー♪ おさまるように見えるのにー 何故か入らない倉庫番ー♪」
モコナは,歌いながら,箱をかついではね回っている。
あきれた君尋は,その耳をつかんで放り投げ,邪魔したら今晩の酒は1合だと言い渡した。そして,「四月一日が正義だ!!」そう言って取り入ろうとする相手を,庭でハーブをつんでいるマルとモロを手伝うようにと,追い出した。
「あったぞ」
そこへ,静が,ひもをかけた箱を差し出した。
 
箱を受け取った君尋が,ふたをあける。
「‥‥うん」「これだ」
そこにあったのは,チョウの文様はいった三味線の……。
「撥(ばち)は三味線を打(ウ)つ そして うちにある撥はこれだけだ」
店主になる前からあったからいわれは分からないが,ここにあるのにも理由(ワケ)があるんだろう。君尋はそう語り,さらに続けた。
「この世に偶然はない」「全ては必然だから‥‥‥な」