「願えば叶うはずでしょう!?願ってるのに。毎日、毎日、毎日・・・」
そう言って百目鬼に手を掴まれたまま、小羽の母は崩れた。
その後、四月一日と百目鬼は店に小羽を連れてやってきた。
小羽の母はそのまま病院へ連れて行かれたそうだ。
「あの子は入れたんですね」と言う百目鬼に侑子は「あの子にも願いがあるんでしょう。」と言った。
四月一日は小羽の居る部屋に入った。
小羽は自分の過去を話した。昔、まだ父と母と3人で済んでいた頃の―
「結婚式の時、羽根みたいに舞う雪が降ったの。だから生まれる子には小羽ってつけるんだって決めてたのよ。」
「私が生まれる日にも雪が降ったの?」
「もちろん。ずっと願えば叶うのよ。」
そう語り合ういつかの親子。
やがて小羽が霊視できるようになる。初めて霊視したものは父親の後ろにいる女の人―父の不倫相手だった。
それを母に話し、その夜母と父は派手に喧嘩をした。
その後両親の仲は険悪になり、母は小羽を積極的にテレビに出すようになり、やがて父は家を出て行った。
「また3人で暮らせますようにって願っても叶わなかった。」
そして四月一日は小羽を抱きしめた。
小羽の目からは涙がこぼれていた。