トップページデータノートストーリー紹介【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE−】

Chapitre.151−雨の中の嘘

 さくらが3人の元を去ったあと、ファイは初めて彼女が彼の嘘に気づいていたことを知る。それは、ファイが記憶の羽根の在処を知っていること。彼は、時空を遡って舞い落ちた記憶の羽根を使って、魔導生命体であるチィを創り上げたのだった。さらには、ここにいないもう一人の小狼にも1つの嘘をついていた。「(もうひとりの)小狼に引っかかっていた」という、最初の羽根。それはずっとファイが懐に抱えていたものだったのだ。
 陰謀によって敷かれたレール。しかし、侑子はファイがさくら達と共に旅立つことを引き留めなかった。…それが、彼の願いであるから。そして、その旅路の先を選ぶのは、彼自身なのだから。
 その言葉で、彼の心にある分岐器<ポイント>が、切り替わった。
 
 2つに分かれたさくらの体と魂。そのうち、急を要して救わねばならないのは刃で切り裂かれた体だ。その行き先は、ファイが元居た世界、セレス国。かつて「此処にだけは戻りたくない」と旅立った彼は、大きな対価と共に1つの決断をする。右目の視力、すなわち彼が手にする「光」と引き替えに、セレス国に戻ることを。