強大な魔力を持つ者を、無意識に殺めてしまう呪いに対し、身をもって抗ったさくら。器となったその躯の行き先が、かつて決別したはずの祖国・セレスであることを知ったファイは、自らの視力を対価にセレス国へ向かうことを次元の魔女・市原侑子に望む。
傍でそれを聞いていた黒鋼。だが、無言でファイのこうべに拳を下ろした。もはやセレス国に用事があるのはファイだけではない。黒鋼、『小狼』、そしてモコナ。四人の「対価」と引替に、望む世界へ次元を渡るチカラを手に入れようとしていた。
一方、異世界で一連の出来事を見ていた飛王は、それを苦々しく見つめていた。彼の見込みでは、ファイの呪いの行き先はさくらではなく『小狼』のはず。しかし、それを先見した彼女が、自らの強運と右足、そして矛先を己自身にまで変えて、その筋書きを変えてしまったのだ。だが、彼にはまだ秘策があった。それは、ファイに施した、セレス国でしか発動しないもう一つの「呪い」であった。